シアトルタコマのおばちゃんブログ

アメリカ在住30年以上、現在シアトルタコマのあたりに住むおばちゃんのブログです。

アマゾンのオフィスに関して − 仕事と自然

Amazon indoor rainforest

アマゾンが、シアトルの本社で、今週の月曜日、ビル街の中に、

インフォレスト熱帯雨林)のオフィスを開設したそうです。

 

www.mnn.com

 

この記事では「forest-bathing」の文字が何度も出てきます。

 

「forest-bathing 」とは、「森林浴」のことです。

 

「森林浴」は日本で始まりました。

 

 

Shinrin-yoku」として、

森林浴療法の概念が、そのままの言葉で広がり、

アメリカでは、知識人の間で「forest-bathing」として知られています。

 

 

都会か自然か

 

シアトルの Amazon では、

インフォレスト・ドーム・オフィス(rainforest dome offices)によって、

自然の力を借りて仕事の質を上げることが期待されています。

 

3つのガラスドームには、

400 種類、4 万の植物が植えられ、それらを維持する為に、

日中の気温は22度、湿度60%、夜間は13度、湿度は85%に保ち、

しかも周りの環境にも優しい建物、

という贅沢な環境が備えられています。

 

日本でも、自然の力に魅了された人は沢山います。

会社を辞めて田舎へ移り住んだり、

 IT業界などが地方へ移ったりしています。

 

都会ではストレスが多すぎて暮らせない、と言う人々がいます。

とはいえ、田舎に移っても大変、と賛否両論です。

 

田舎へ移る良い点は、

ストレス軽減、

健康になれる、

物価や家賃が安い(ネットショップでも買える)

都会とは違う人との出会い、

 

良くない点は、

地域住民に馴染めないのがストレス、

都会のような便利さがない、

娯楽が少ない(自然は多いけど)

田舎の仕事のペースが、都会の業者と合わない(納期とか)

などでしょう。

 

ストレスを緩和し、かつ仕事ができるなんて理想的で、

都会に自然があるのは嬉しいことです。

 

都会にも公園はたくさんあります。

普通は、そこで心の癒しを得られるでしょう。

 

ですからAmazon の、レインフォレストを都会に持ってくる、

という大胆な試みは、

資金が豊富な会社ならではのことだと思います。

 

 

インフォレスト(雨林)

 

雨林(rainforest)は、降水量の多い森のことです。

 

熱帯雨林(tropical rainforest)は、

熱帯性の植物が生い茂る雨の多い地域、赤道のあたりに分布しています。

日本でしたら、沖縄にも熱帯雨林気候がありますね。

ブラジルのアマゾンにも熱帯雨林が広がっています。

 

温帯雨林(temperate rainforest)は、日本にもあります。

とはいえ伐採などで、原生林はわずかしか残ってないそうです。

シアトルの西、太平洋側に、オリンピック国立公園があり、

そこのレインフォレストは有名です。

世界でもこれだけの規模の温帯雨林は珍しく、

世界遺産にも登録されており、

国立公園の年間訪問者数は、ここ数年、300万人を超えています。

 

 私は冒頭に、

"レインフォレスト熱帯雨林)のオフィス"と書きました。

日本のNHKニュースで、

「レインフォレスト」を「ジャングル」と訳されていたので、

その方が分かりやすいのかなと思い「熱帯雨林」にしてみました。

ジャングルは、主に熱帯地方の密林を指しています。

 

とはいえ、こちらの感覚では、やはり「雨林」でしょう。

 

Temperate rainforest - Wikipedia

 

www.mnn.com

オレゴン州の温帯雨林について・写真が美しいので載せました)

 

シアトルの辺りでも「レインフォレスト」に親しみがあり、

それは森林浴とも深い関係があります。

 

 

森林浴 forest-bathing

 

森林浴とは、森林の中に入って行って、体や心を安らげることです。

ウォーキング程度の運動とは相性が良く、森林の中を歩くのは有益です。

 

森林の葉から出る香りの中に、フィトンチッドといって、

植物が自分を細菌から守ろうとする化学物質があります。

それは私たちの精神も安定させ、免疫力を高めてくれる働きもあります。

 

ですから、Amazon の、雨林オフィスで仕事をし、

吊り橋(suspension bridges)を渡って行き来し、

フィトンチッドを吸いながら、

仕事と空中通路を歩けるなんて理想的です。

 

IT関連企業で働いておられる方は、

ストレスと過労による免疫低下から具合が悪くなり、

うつ病にもなってしまう人も少なくないそうです。

 

私の知っている方も、有名なIT関連企業で働いておられましたが、

うつ病を発症し、会社を辞め、そして家まで失ってしまわれました。

仕事をやめられる時は、本当に辛そうで、 

有名な会社に就職しても、幸せになれるとは限らないようです。

 

アマゾン ジャパンの離職率は高いと聞きます。

それは他のアメリカの大手会社も同じだそうです。

 

挑戦しがいのある会社でしょうが、離職率が多いのは問題です。

 

会社にとっては、

優秀な社員を逃してしまうことにもなりかねません。

 

 

消費者の目

 

さて、一般の目も侮ってはなりません。

企業は、末端の消費者によって支えられているからです。 

 

消費者は、従業員の雰囲気の悪いお店から商品を買いたくありません。

例え、百均のような安いお店でも、

雰囲気が悪ければ、足が遠のいてしまうでしょう

少々高くても、信頼の置ける人や店から買いたいのです。

 

とはいえ騙し騙される世界ですので、

企業が消費者を上手く騙せれば、収益率は上げられるかもしれません。

(その会社が長く続くかどうかは分かりませんが)

 

とにかく、会社が社員を大切にできなければ、顧客も大切にできません。 

 

ですから、Amazon の、

自然いっぱいのオフィスは、素敵な試みだと思います。

 

 

razzle-dazzle アマゾンのオフィス

 

冒頭に上げた英語の記事の最後の節に、"razzle-dazzle" とあって、

私はそれを読んで、プッと笑ってしまいました。

 

「馬鹿騒ぎ」と言う意味なのですが、

フォーレスト・ドーム・オフィスは、奇想天外でもあります。

 

そんな建物は、Amazon にとって、従業員の士気の低下を防ぐことが、

切実な問題であることの象徴のようにも思えます。

 

それと同時に、Amazon の、そして他の大手の会社の社員が、

仕事の重圧に耐え、一生懸命に働いておられることに、

敬意を表したいと思います。

 

私も、Amazon を良く利用します。

彼らの働きから益を受けているのです。

 

Amazon の社員だけでなく、 シアトルにとっても、

フォーレスト・ドーム・オフィスは、新しいアイコンになるかもしれません。

 

そして願わくば、多くの人が、自然の力に気づいて、

自然を大切にして欲しいものだと思っております。

 

それでは、シータック!