サマータイム(夏時間)は必要なの?
夏時間の始まり
アメリカの夏時間が、3月11日に始まりました。
日曜日の朝に、私は、時計を1時間、先送りにしたところです。
夏時間は、イギリスでは、サマータイム、
アメリカでは、
デイライト・セービング・タイム(Daylight Saving Time)DSTと言います。
アメリカの DST は、
3月、2週目の日曜日、午前2時に始まり(1時間減る)
11月、最初の日曜日、午前2時に終わります。(1時間戻す)
さてこの 夏時間ですが、アメリカやイギリス、60カ国以上が実施しています。
日本でも過去に実施されたしりましたし、導入について検討もされたりしています。
夏時間は、日本でも必要だと思われますか?
夏時間を考え出したのは誰?
夏時間の発明者はベンジャミン・フランクリン(100ドル紙幣に印刷されてる人)と言われたりします。でも違います。
1784年、パリの新しいオイルランプのデモンストレーションに出席していたフランクリンは、匿名でジャーナル・オブ・パリに、自宅の照明についてユーモアーを交えたエッセイを送りました。
それはSNSにあるような「こうしたら社会は良くなるかもね」的な情報発信だったのかもしれません。
フランクリンは、その後も照明(ロウソクが主)の節約について考え続けました。
それは人々の習慣を変えるため、時間を変えることではなかったようです。
始めて夏時間を提案したのは、ニュージーランドの昆虫学者、ジョージ・ハドソンでした。(1895年)
「朝が早いとたくさんの昆虫を集められるから」ということだったらしいです。
その後、イギリスの建築家、ウィリアム・ウィレットが、朝の光を浪費しないために時計を調節するという考えをパンフレットに込めて精力的に広め始めます。(1905年)
「習慣で変えられないのであれば、時間を変えてしまえ!」ということでしょうか。
実はウィレットはゴルフ好きで、夕方に途中でゴルフを切り上げるのが嫌いでした。
そこで見つけた解決策が「時間を早める」ということらしく、なんと死ぬまでロビー活動をしたそうです。
どちらにしても個人的な好みが動機のようですが、それが世界を変えるなんて面白いですね。「何て素敵」と思いました。
残念ながら、ジョージ・ハドソンは1871年、ウィリアム・ウィレットは1915年に亡くなられたので、実際に夏時間が始まるのを見ることはありませんでした。
実施されたのはいつ?
イギリスとドイツは、夏時間を1916年、第一次世界大戦中に始めます。
アメリカは、1918年3月31日から始まる7ヶ月間に行いましたが、不評だったのですぐに廃止します。
戦後、他の多くの国々も夏時間を廃止します。(イギリスは続けた)
そして第二次世界大戦が始まると、再びアメリカは、エネルギー節約のためにDST を導入します。
戦後、アメリカではDST の一律の定めはなかったので混乱が続き、1966年に規制が制定されました。
それから50年以上経ちました。
ところが今でも、DST について喧々諤々の論争が続いています。
FacebookやTwitter でも激しい論争があるので、英語を読める方は見てみてください。
そう、夏時間の賛否は、ネバー・エンディング・DST・ディベート(The never ending DST debate)なのです。
では、夏時間の長所・短所にはどのようなものがあるのでしょう。
夏時間のプロとコン(Pros and Cons)
賛成(Pros )
- 朝の活動を早く始めるので、午後、特に夕方の時間を有効に使える。特に野外でのスポーツやレクリエーションを長く楽しめる。
- 学校や仕事の後、買い物、飲食、コンサートやイベントなどを楽しめるので、経済効果が期待できる。
- 照明などのエネルギーの節約になる。例えば、私の住んでいるシアトルあたりは、夏至の頃の日没は夜の9時過ぎで、1日は16時間ほど明るい。
- 道路の安全性を上げることや、犯罪率の低下に役立っている。
反対(Cons)
- 1時間の睡眠を失う。人はそんなに簡単に睡眠の習慣を変えられないので睡眠時間が短くなる。
- 3月の第2週の朝はまだ暗いので、せっかく明るくなってきたのに、再び暗い内に学校や職場へ行かなければならなくなる。(落ち込む人もいる)
- 交通事故が多発する。失われた睡眠と薄暗い中での車の運転で、事故が起こりやすくなる。
- 体内時計が狂い、健康に害を及ぼす。(心臓発作が増えるという結果も報告されている)
- 赤ちゃんや子供の生活リズムに影響する。睡眠時間が変わるのでストレスになる。
- エネルギーの節約に少ししか役立ってない。かえって増加してしまった州もある。(エネルギー節約は元々の目的だったのに)
- 生産性が下がる。
- 農家にとってあまり益がない。(自然相手だから)
日本での導入の可能性
日本では、度々夏時間の導入が議論されてきましたが、なかなか定着しません。
特に日本は縦に長い国なので、北海道では益があっても、沖縄はあまり益にならないという問題もあるでしょう。
夏の花火を始める時間も遅くなります。
コンピューターや携帯電話の時間の変更、法律の改正など、導入のための費用がかかり、手間も増えます。
(皆がそろって新しい機器に買い換えるという経済効果はあるかもしれない)
これからのサマータイム
アメリカで DST を好きな人は、嫌いな人と同じくらいいます。
DST を好きな人たちは、夏の長いお日様の時間を楽しんでいるようです。
それは私も同じです。(仕事している頃は嫌いだったけど)
とはいえ、フランクリンが考えていたように、早起きして、朝の時間を有効に活用し楽しめばそれで良いのでは、とも思ったりします。
サマータイムは、多くの先進国で採用されています。
その経済効果について言う専門家もいます。
反対に「期待したほどの益はない。むしろ害の方が大きいかも」という調査結果も増えています。
ですから、その内、夏時間は、時代遅れになるかもしれません。
これが私の結論、「夏時間は、もう時代遅れ」です。
それではこの辺で、シータック!