シアトルタコマのおばちゃんブログ

アメリカ在住30年以上、現在シアトルタコマのあたりに住むおばちゃんのブログです。

精神障がいの夫とダウン症の娘(食レポ風?)

ダウン症の「ダウン」って?

 

鎌倉に住むSさんには、ダウン症の娘がいます。

娘は、今年で、二十歳になりました。

 

私の今回の帰国で、Sさんは、会うのを楽しみにしていた友人の一人です。

 

Sさんは、娘を「ダウン症」と言いません。

「21トリソミー」と言います。

日本では、ダウンを「下」と連想するからです。

 

ダウン症の「ダウン」は「下」ではありません。

その存在を発表した「ダウン博士」の名前です。

 

アメリカでは、ダウン症をその名前から「下」とは受け取りません。

 

日本では、ダウン症について知らない人が多いので、

「ダウン」と聞いて、マイナスなイメージを持つとSさんは言います。

 

友人たちとの楽しい再開

 

さて私は、町田でSさんと待ち合わせをしていたので、

空港から町田へ向かいます。

 

Aさん(ボイス・トレーナー&音楽療法のアシスタント)とも合流し、

Aさんオススメの、"いまがわ食堂"で、新鮮なお魚を食べます。🎶

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これは前菜(笑)

右上のゴマサバは、今回「日本で食べたい!」と思っていたものでした。

美味しかったー!

 

別居

 

精神障がい者と関わりのある3人(A、S、私)での女子会ですが、

今回は、Sさんについて書きます。

 

Sさんは、夫の精神障がいのため、別居中です。

 

Sさんが夫を変だと思ったのは、結婚して間もなくだったそうです。

そしてSさんは、夫から暴力を受けるようになります。

それでも夫に精神症がいがあると分かるまで、何年もかかったと言います。

 

別居に踏み切ったのは、娘が6歳、保育園に通っていた頃でした。

夫がペットのミニ・ダックスフンドを蹴り、犬が飛ばされてしまったのです。

(ワンちゃんは、夫が大好きで、夫が帰ってきたのが嬉しくて騒いだだけなのに)

 

それから、夫は娘にも暴力をふるったので、彼女は娘を連れて家を出ました。

 

彼女は「夫を好きだけれど、一緒に住めない」と言います。

 

一度は、家へ戻ったそうですが、再び別居しました。

 

家庭内暴力

 

長い間、Sさんが夫の精神障がいに気付けなかったのは、

夫が家の外では良い人だったので、

「義に厳しい人なのだ」と思ったからでした。

 

他人から良く見られたい夫は、

問題が起こると、妻のせい、

赤ちゃんがダウン症で生まれたのも、妻のせい、

「自分は悪くない」と言います。

 

夫は、家の内と外では、ジキルとハイドのように態度が変わり、

怒ると、彼女に馬乗りしたり、首をしめたこともあるそうです。

それなのに夫は、「自分はそんなことをしてない」と言います。

 

娘は一部始終を見ているけれど、

家の中の閉ざされた中なので、他の人には何が起こっているのか分かりません。

Sさんは「命に関わるのでなければ」と我慢します。

 

ところがある日、夫が逆上して暴力を振るった時、

友人が携帯電話でその様子を聞いていたのです。

そして「えええっ⁉︎」ということになります。

 

とはいえ多くの人は、穏やかそうに見えるご主人がそんな暴力をする人だなんんて信じません。

今でも周りの人々は、彼女に、

「ご主人は良い人じゃない」と言ったり、

中には、夫と、よりを戻すよう勧めたり、説教する人までいます。

 

昭和ひとけた生まれの父親

 

Sさんが夫の暴力に耐えたもう一つの理由は、彼女の父親でした。

父親は、昭和ひとけた生まれの厳しい人だったので、

「夫とは、このようなものだ」と思っていたそうです。

 

その年代でも、自分の感情をコントロールできる人はいます。

反対に、怒りを押さえられない人は、

自分が「正しい」と思っていても、

家族からは「一緒にいたい」と思ってもらえない人でしょう。

例えそれが障害のせいで、本人が辛くても、周りの人々も辛いのです。  

 

私が、

「精神症がい者(ご主人)は、どんな理由で怒るの?」と聞くと、

Sさんは、

「急に切れるので、理由は様々、何がきっかけになるのか分からない」と言います。

 

人が怒ると、こちらの方は、

「自分が悪いの?」と思ったりします。

実際は「そうでない」と認めるのにも、エネルギーがいるのです。

 

話の続き

 

ということで「これって食レポ?」と思うかもしれませんが、

別の日にSさんと、

www.chairo-curry.jp

ランチに行き、

続きの話を聞くことにしました。

 

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古民家風の素敵なカフェです。

中はこんな風(Sさんの後ろ姿)で、

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骨董品のインテリアも素敵なのに、

このカウンターの上の近代的な棚がとても良くマッチしてました。

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注文したのは、

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ミートボール・カレー(左)と、野菜カレー(右)

おしゃれで美味しかったです。

 

娘の支え

 

夫の精神症がいで、苦しむSさんを支えてくれたのは、

ダウン症の娘と、

娘を通して会えた素敵な人たちだそうです。

 

娘は、母親を気遣う、優しくて、しっかりした女性に育ってくれました。

 

子供がダウン症で悩む母親たちがいます。

夫の精神症がいで苦しむ妻たちもいます。

Sさんのように、その両方で奮闘するSさんを最も支えているのが、

娘だなんて素敵ですね。

 

Sさんがそう思えるまで、たくさんの苦しいことがあったそうです。

 

その一つ、娘が幼い時、Sさんが悲しかったのは、

夫が、ダウン症の顔が嫌で、我が子を抱こうとしなかったことです。

 

Sさんは、娘が小学校へ上がる前に、整形手術をしようとまで思い詰めます。

すると、相談した若い大学病院の先生(名前は覚えてない)が、

穏やかに話を聞いて、整形手術を思い留まらせてくれました。

 

そしてSさんが相談した精神科医も、夫についての話をじっくりと聞いてくれました。

本を読むなどして、夫との関係に努力していた彼女でしたが、

「ご主人は治らない」と言われ、

「これは自分が何とかできる問題ではない」と理解します。

 

お医者様だけでなく、

他にもたくさんの方々が、彼女の生活を豊かにしてくれたそうです。

 

今でも、Sさんの苦難は終わったのではなく、戦い続けています。

 

そんなお話を、また別の機会に書きますね。

それでは、シータック